2019年3月の不動産市況を解説
いよいよ平成最後の年度末が終わろうとしております。
不動産業界のみならず年度末は取引が活発になるかと思いますが、融資姿勢の影響もあり、例年と比べて動きが少ない印象を持っています。
参考資料として2010年~2019年の10年間における3月レインズ成約件数の推移を添付致します。これを見ても今年3月の成約件数は例年より落ち込んでいることが見て取れます。

要因としましては、担保評価に応じて自己資金を求められる傾向にあることと、買い手が想定していたよりも売主が値下げに応じなかったように感じます。
不動産会社についても、3末までに利益を蓄えられていたことや賃料収入が得られるという商品特性上、不動産会社が損切りをしたという話はほとんど聞いておりません。
在庫圧縮の流れだからこそ・・
一方、日経新聞に掲載されていたように、在庫圧縮を行う方針を立てている不動産会社もございますので、今年は4月以降が不動産会社売主案件が狙い目だと考えます。

融資の温度感はどうか
例年は金融機関から「何か3末案件ありませんか?」というような営業が多くありましたが、今年はそういう声も少なく金融機関が積極的に営業して融資を行うという行為が自粛されているように感じます。
ある意味今が当たり前の状況で、ここ数年が過剰融資であったということなのでしょう。
また、当社のお話をさせて頂きますと、おかげさまで繁忙期により入居率が上昇し、一般物件で98%、シェアハウスでも92%を超えております。
新築物件などの新規供給が減ること自体はオーナー様にとって好材料ですので、高稼働、高収益を維持できるよう管理に努めてまいります。
各種経済指標と今後の予測(金利、逆イールドと株高)
米国は3月20日のFOMC(米国連邦公開市場委員会)で、2019年の想定利上げ回数を0とし、3カ月前の2回から大幅に引き下げました。
現時点では、日本、ドイツとは異なる金利を維持しておりますが、米国経済も予想より減速しているとのコメントもあり、今後、利下げに転じることも市場は織り込んでいく可能性があります。

さらに、3月22日、米国債券市場で、3カ月物と10年物の利回りが逆転し、12年ぶりの逆イールドが発生しました。

景気後退局面の予兆と言われていますが、すぐに景気後退になるわけではなく、平均約2年程度のタイムラグがあります。その間に約30%程度の株高となっている経験則もありますので、一時的に株価を押し上げる要因にもなるでしょう。
金融緩和でお金が余っている事は確かですので、10年物の金利が下がればより高いリターンを求めて株式市場にお金が流れるのは理にかなっているように思います。
不動産に関しては、依然として調達金利が低い為、期待利回り(キャップレート)が上がらず、自己資金を入れる割合が増えたとしても(レバレッジが下がったとしても)購入意欲の高い富裕層が厚いと感じています。
ただし、あくまで取引が活発で価格が安定しているわけではないので、何か大きなニュース等によって、相場のエネルギーがどちらかに振れやすいのではないでしょうか。