増税を控えた今、収益不動産は買いか?
参議院選挙も終わり、いよいよ増税、そしてオリンピックまで1年を切りました。融資姿勢が厳しめであることもあって、オリンピック前の過熱感も少ないため、不動産市場は下がらず上がらずで相場が安定していると感じる方が多いのではないでしょうか。
ここで10月からの増税が不動産売買に与える影響について考えてみたいと思います。
最近では税別金額で利回り表示された物件を時々みかけますが、税込表示をしている会社においては増税⇒建物消費税増額⇒本体価格の値引きとなってしまいます。
かと言って値上げも難しく、土地価格按分を変えないと手取りが減ってしまう為、せっかくなら増税前に売りたい売主と仲介手数料などの諸経費増額がある反面、消費税還付増額の恩恵が受けられる買主とで様々な思惑が交錯すると思われます。
ただ、上記本体価格の値引きは課税事業者の事情であり、売主が免税事業者(個人など)であれば大きな影響はないと言えます。
その観点では増税前に売却意欲が高まる物件、特に売主が不動産会社である物件はお勧めです。
9月末に買って3月末に売る傾向
また、別の観点から季節要因を分析しますと、9月末に買って、3月末に売るというセオリーが見えてきます。
下記グラフは金融緩和後の2013年以降で四半期ごとの価格がどうなったかが示されています。こちらはリートの価格推移ではありますが、1棟マンションにおいても同じ傾向があると感じます。

これから8月に入り、お盆などの連休もありますので、前倒しで売却の動きが活発になっています。
もちろん、資金が潤沢な会社などは売り急がない為、売主事情と物件の見極めが必要ですが、物件の魅力はもちろんのことタイミングとしてもお勧めできる物件情報は随時ご提案させて頂きます。
レインズ成約事例
続いて恒例のレインズ成約事例についてご紹介させて頂きます。
①都立大学駅3分 昭和63年 RC造
売出価格3.8億⇒成約価格3.1億
土地100坪 建物147坪
成約利回り5.7%
ポイント:都立大学3分、外観◎、大手施工
留意点:和室あり、残存16年
②押上駅3分 昭和50年 RC造
売出価格1.75億⇒成約価格1.5億
土地31坪 建物97坪
成約利回り6.7%
ポイント:押上3分、角地、整形地
留意点:旧耐震(昭和50年)
③石神井公園駅5分 昭和58年 S造
売出価格1.43億⇒成約価格1.43億
土地46坪 建物114坪
成約利回り8.3%
ポイント:石神井公園5分、商業地域
留意点:耐用年数オーバー
④志木駅10分 平成元年 S造
売出価格1.5億⇒成約価格1.3億
土地約121坪 建物約176坪
成約利回り8.6%
ポイント:土地120坪、タイル張り
留意点:残存4年
⑤矢向駅15分 平成10年 RC造
売出価格1.29億⇒成約価格1.056億
土地45坪 建物132坪
成約利回り約10%
ポイント:高利回り、オーナー住戸付
留意点:南武線矢向駅15分
⑥千鳥町駅10分 平成元年 RC造
売出価格1.3億⇒成約価格1.3億
土地57坪 建物100坪
成約利回り6.7%
ポイント:3駅2路線利用可能
留意点:積算比率が低い

6月の反動もあり、前月比では成約数が減少しました。
また、大幅指値での成約物件があるのと成約物件の価格帯について小ぶりな物件が多い印象です。駅10分以内の物件が多いのは、今の金融機関のトレンドとなっています。
「待ち姿勢の売主」が増えてきた
全体的に売り物件は多いですが、マーケットイン(顧客目線)の売主よりプロダクトアウト(希望条件)の視点でじっくり待つ売主が多いことが特徴です。その為、買主が契約を決めた背景について非常に個別性があって、成約事例の水平展開が難しい市況と言えます。
ある程度の買付が集まる値付けの物件ばかりであれば成約価格が読みやすいのですが、複数枚買付が入る値付けを行う売主よりは飛びぬけた買付条件を待つ売主が多い印象です。
逆に言えば、トレンドを外した物件であれば他者と競り合わず、思わぬ指値が通ってしまうチャンスもあるのではないでしょうか。
- 管理不足で賃料が周辺相場より低い
- 施工品質が高い割には価格に織り込まれていない
- 公簿面積と実測面積に相違がある(残地求積など)
- 共用部のリフォームで共益費UPできる
上記のような掘り出し物を見極めて、潜在的な価値を引き出す戦略は不動産投資の王道です。ご参考までに。

