【RCと木造を比較】減価償却が大きいことのメリット・デメリット

    前回は減価償却費が「キャッシュアウトしない経費」として計上できる点がポイントになるということをお伝えしました。

    今回は、具体的な数字を当てはめながらその節税効果などについて見ていきます。

    目次

    償却期間と節税

    ご存知の通り、日本の所得税は累進課税となっています。

    900万を超え 1,800万円以下 33%
    1,800万を超え4,000万円以下 40%
    4,000万円超          45%  
    (別途、住民税10%)

    この表を見て分かる通り、1,000万円を超えた年収層の方々に対しては、少なくとも所得の1/3が税金として徴収されることとなります。また、これら所得のうち1番大きなウエイトを占めているであろう給与所得について抜本的な節税をすることは困難です。

    一方で不動産所得は、減価償却費が不動産所得を上回って赤字になれば、そのマイナス分は給与所得なども含めた合計からマイナスされることとなります。

    そのため、

    減価償却を所得税の減額という観点から使いたい場合、「償却期間が短く」「減価償却費が大きく取れる」物件が良い物件ということになります。

    減価償却を大きく取るなら築古木造

    減価償却が大きく取れることを理由に築古のアパートを購入することも、不動産投資のよくある目的の1つです。

    例えば築23年で建物価格5000万円のRC物件と、同条件の木造物件を購入する場合を考えてみます。

    築23年で建物価格5000万円のRC物件

    償却期間は47-23+(23×0.2)=28年
    よって減価償却費は5000万/28年≒178万円

    築23年で建物価格5000万円の木造物件

    償却期間は22×0.2=4年
    よって減価償却費は5000万/4=1250万円

    減価償却を大きく取るなら木造

    これは極端な例ですが、RCと木造では減価償却費に大きな差が出てきます。

    減価償却と簿価の減少

    しかし、減価償却も当然ながら良いことばかりではありません。

    一番留意すべき点は、「減価償却費として毎年計上された分だけ、建物の会計上の価値(簿価と言います)も減少する」ということです。

    例えば償却期間10年で1億円の建物を購入した場合、その建物の価値は1年後に9000万円、2年後に8000万円……10年後に1円となるのです。

    つまり1億円の物件を6年後に1億円で売却した場合、「買値と同じなので利益はプラスマイナスゼロ」ではなく、「簿価の建物価値(4000万円)に対して1億円で売れたので利益は6000万円」となります。

    減価償却が大きいと売却時の税金が高額

    先程述べた例で5年後に4500万円で売る場合について考えてみると、

    築23年で建物価格5000万円のRC物件

    簿価は5000万-(178万×5)=4110万円
    利益は4500万-4110万=390万円

    築23年で建物価格5000万円の木造物件

    簿価は1円
    利益は4500万円

    木造は売却時の利益が大きいので税金が高額

    つまり減価償却費を大きく取って節税することは、その分売却時の簿価を小さくする(=利益を大きくする)ことに繋がりますので、売却時にかかる税金は増額されることとなります。

    所得税と売却時の税率は必ずしも一致しませんが、

    減価償却による節税は納税の義務を軽減するのではなく、あくまで「課税の繰り延べ」である

    ことは最重要チェックポイントです。

    節税を取るか、出口戦略を取るか

    物件保有中の所得税を節税することによって「手元にキャッシュを残しておきたい」「キャッシュを再投資したい」といった理由で減価償却が大きく取れる物件を狙うのも立派な戦略の1つですが、購入から売却まで総合的に見た時に、必ずしも「減価償却費が大きく、期間が短く取れれば良い物件」とはなりません。

    今回も減価償却と節税の考え方について見てきました。

    上手く使えば非常に効果的な減価償却ですが、出口まで見据えた戦略を立てずに、節税のみに主眼を置くような買い方をすると非常にリスキーなものです。

    そこで次回は、個人/法人の差や売却時の税金などを確認し、減価償却も含めて皆様の資産運用の一助となるような情報をお届けできればと思います。

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