【不動産投資】コベナンツ融資を融資事例つきでゼロから解説【中古RCに最適】

    コベナンツ融資を活用した不動産投資

    最近、不動産投資で「コベナンツ融資」という言葉を耳にしませんか?

    • 自己資金が少なくてもOK
    • 融資期間が長くなる
    • 金利が低くなる

    このようなメリットがコベナンツ融資にはあり、今とても注目されている不動産融資です。

    今回はコベナンツ融資の融資アレンジ経験者として、生々しいコベナンツ融資の実態を解説します。

    執筆:中原駿(なかはらしゅん)

    株式会社プラン・ドゥ 不動産コンサルタント

    一橋大学社会学部卒業後、株式会社プラン・ドゥに入社。
    入社以来一貫して「中古・郊外・RC・一棟」物件の売買仲介や不動産コンサル業に従事し、 相対した投資家様は50人以上、取引総額は15億円を超える。

    ※専門用語や難しい解説も多いので、急いでいる方は太字赤字だけ読んでいただければと思います。

    目次

    コベナンツ=特約

    コベナンツとは端的に言うと、融資契約を締結する際に「債務者(不動産投資家)に対して、契約書に追記できる一定の特約事項」のことです。

    「コベナンツ=特約」です

    特約の中身も様々ありますが、一般的なものとしては、

    • 初期費用
    • 情報開示義務
    • 財務制限条項(純資産額や収支の黒字維持など)

    が挙げられます。

    コベナンツ(=特約)をつけると何が良いのか

    コベナンツ融資の特約と条項。

    特約を設けることによって、不動産投資家は、低金利や長期融資の恩恵を受けることができます。

    例えば通常の融資商品だと、金融機関が「この投資家に積極的に融資したい!」と思っても、融資商品の設計上の問題で、多額の自己資金や高い金利での融資を余儀なくされます。

    しかしコベナンツ融資であれば、債務者の状況に応じてコベナンツを付与する代わりに、
    通常の融資商品ではありえない条件での融資実行が可能となるのです。

    つまり金融機関目線で言うとコベナンツ融資とは、

    思い切った融資条件でお貸しできるので、
    ある程度の特約を付けさせてください

    という形の融資になります。

    なぜ今コベナンツ融資が不動産投資で熱いのか

    「コベナンツ融資」自体は昔からありました。

    コベナンツ融資は米英を中心に行われていたものの日本ではそれほど馴染みが無く、一般的には事業法人が事業融資を受ける際などに使用することが多かったために、不動産投資の文脈で語られることはほとんどありませんでした。

    ただ最近になって個人の不動産投資や資産管理法人に対しても、コベナンツ融資を提供する金融機関が徐々に現れてきました。

    コベナンツ融資自体は昔からあるが、注目され始めたのはここ最近のこと

    背景についてはあくまで個人の推測ですが、

    ・かぼちゃの馬車以降、金融機関側の「貸し手責任」について着目されつつあること

    ・法定耐用年数の枠の中で融資可能な物件が少なくなってきたため、中古物件の流通を促進したり、融資総額を増やしたりするためには新たな商品設計が必要になったこと

    が挙げられるのではないかと思っています。

    コベナンツ融資の融資’事例’

    それでは具体的に、コベナンツ融資の事例をご紹介します。

    つい先月に融資アレンジを担当させていただいた物件で、某地方銀行様のコベナンツ融資になります。

    コベナンツ融資を引いた物件の情報

    物件情報

    ・神奈川県川崎市

    ・築30年(=残存17年)

    ・RC造

    ・1億円台後半

    ・積算およそ50%

    では上記の物件に対して、どんなコベナンツ融資が実行されたかを見てみましょう。

    ※個人ではなく資産管理会社(合同会社)での融資になります

    実際の融資はこうだった

    • 融資額:フルローン
    • 期間:30年
    • 金利:1.0%

    このような融資条件になりました。

    今の融資環境の中で、フルローンはなかなか珍しいですし、融資期間もこれだけ長くなるのも難しいと思いますので、破格の融資条件と感じていただけるのではないでしょうか。

    もしコベナンツ融資じゃなかったら・・・

    • 融資額:物件価格の8割(自己資金2割)
    • 期間:20〜25年
    • 金利:1.5〜1.8%

    こういう融資条件になったと想定されます。

    ちなみにコベナンツ融資であれば必ずフルローンというわけではありません。本件の金融機関では、不動産鑑定評価で算出された金額を上限にしています。

    同様に融資期間についても、鑑定評価をもとにした経済的耐用年数の範囲内になります。

    どんなコベナンツ(特約)が盛り込まれたか

    • 500万円を借入時に支払う
      ※コベナンツ費用(ストラクチャリング手数料)として

        
    • 毎年の鑑定評価取得とその開示
      ※費用としては初回40万円・毎年10万円ほど
        
    • 金融機関への報告義務
      ・法人の決算書(年1回)
      ・連帯保証人の確定申告書(年1回)
      ・借入残高書(半年に1回)

         
    • 純資産額+役員借入をマイナスにしない
        
    • 2期連続の赤字を出さない(損益)

    などが盛り込まれました。大まかに分類すると、初期手数料・情報開示義務・財務制限条項の3つになります。

    しかし全ての項目が不動産投資においてデメリットかというと、そうでもありません。

    コベナンツ融資のメリット・デメリット

    ここからはコベナンツ融資をご検討されている不動産投資家様に向けて、コベナンツ融資のメリット・デメリットをお伝えします。

    不動産投資におけるコベナンツ融資のメリットとデメリット

    コベナンツ融資のメリット

    ◯ 好条件で融資を受けられる

    自己資金額・融資期間・金利について考えると、個人の不動産投資家向けの融資が厳しくなりつつある昨今においては非常に恵まれた条件です。

    不動産鑑定評価など銀行独自の基準に大きく左右されますが、フルローンや残存年数越えの長期融資など、今ではめずらしい条件での融資も視野に入ってきます。

    ◯ 金融機関との関係性を強化できる

    コベナンツ融資の場合、借入期間中に金融機関に対する報告義務が発生してきます。

    煩雑に思う部分もありますが、逆を言えば借り入れ後の資産運用について、金融機関と密に情報共有できることを意味します。2棟目・3棟目と買い進めていく前提であれば大きなメリットになります。

    金融機関とコベナンツ融資

    コベナンツ融資のデメリット

    △ 初期コストがかかる

    保有期間中の融資条件は非常に魅力的ですが、入口で手数料がかかるケースがほとんどです。

    直近の事例だと、融資額の5%が借入時の手数料として発生しました。融資額自体はフルローンだとしても、実質的には手数料として数%分は引かれることとなります。

    そのため借入額が大きいかつイニシャルのコストが大きいため、短期間での物件売買ではかえってマイナスとなる場合があります

    短期間の売買には向かない

    △ 事業運営に制限がかかる

    メリットで述べたことと表裏一体ですが、多少なりとも「金融機関による事業運営に対する介入」があります。

    例えば最近のケースでは「二期連続の損益赤字回避」が条項に含まれていたため、節税狙いの利益圧縮のために意図的に赤字を出すことはできません。

    意図的に赤字を出して節税したい方には不向きです

    △ 融資交渉が大変

    コベナンツ融資で不動産投資をして金融機関と交渉する

    一般的な融資であれば、金融機関との交渉項目は「自己資金・期間・金利」の3つだけですが、コベナンツ融資の場合はさらに「コベナンツ条件」が加わります。

    融資アレンジをしている立場からすると、投資家様1人でコベナンツ融資の交渉をするのは相当難しいと感じています。
    やはり交渉する項目が多いことと、それぞれの条件が現実的に許容できるか否かのジャッジが難しいからです。

    コベナンツ融資はその自由度・柔軟性の高さゆえに交渉の難易度は高いので、不動産投資家様におかれましては、私たちのような仲介業者や弁護士を挟んでの融資交渉を推奨します。

    交渉難易度は高い

    △ 一括返済のリスク

    コベナンツ(特約)に抵触した際、金融機関は自らの請求により「債務者の期限の利益喪失」という対応を取ることができます。これは端的に言うと「一括返済を求められる」ということです。

    例えばこのようなケースです。

    • 財務状況が大幅に悪化したにも関わらず債務者と連絡が取れない
    • 情報開示義務について長期間で違反し続けている

    こういった信用に欠ける行為をした場合、一番厳しいケースで、金融機関側に一括返済を求める権利が生じます。

    もっとも実務上では、財務状況の改善勧告や留保で済むケースが多いです。

    なので普通に金融機関とコミュニケーションが取れている場合には、一括返済のリスクはほとんど無いと思ってもらっていいでしょう。

    コベナンツ融資に向いているケース

    コベナンツ融資をすべき不動産投資のケース

    コベナンツ融資に求められる属性

    属性でいうと、本業年収2000万円〜・金融資産5000万円〜の方がコベナンツ融資の対象になります。

    実際は幅広く受け付けてはいるものの、コベナンツ条件を余裕でクリアしていくにはこれぐらいの属性はどうしても必要になります。

    ご職業だと、経営者・企業役員・外資系企業サラリーマン・医師・弁護士の方などがよく該当します。

    「鬼に金棒」のイメージで捉えるのがよいと思います。ご自身の高い属性・与信を活かしながら、資産ポートフォリオの一部を不動産に移し替えるという目線の方にとっては、使い勝手の良い融資です。

    コベナンツ融資向けの不動産

    「物件は魅力的だが融資が難しい」というケースにコベナンツ融資は威力を発揮します。

    例①築30年の高積算RC

    コベナンツ融資に適した不動産物件

    積算高いけど残存年数が・・。長い融資期間を引ければキャッシュフローが出るのに・・・

    例②利回りは高いが積算が出ない物件

    コベナンツ融資しやすい不動産投資物件

    買えば確実に儲かりそう。しかし担保評価が低いので融資が厳しい・・・

    上記のような物件を狙う場合は、コベナンツ融資は最適な融資方法になります。

    そして現実には、コベナンツ融資は一棟中古RCマンション(価格1億円〜)との相性が良いと考えています。

    • 新築・築浅物件だと融資期間が十分に取れるのでコベナンツ融資は不要
    • 築古木造だと利回りが高いことが多いので、無理に特約をつけて金利を下げるメリットがあまり無い

    このようなことを考えると現実的には、収益一棟中古RCマンションでコベナンツ融資を活用することになります。

    コベナンツ融資で盲点になりがちなこと

    不動産投資におけるコベナンツ融資の盲点。

    これまで見てきたように、コベナンツ融資はとても強力な融資方法になります。

    しかし、とは言ってもまだまだ一般的な融資方法ではありません。ゆえにこんな盲点もあります。

    例えばコベナンツ融資では「積算が低くても融資を引ける」ケースがよくありますが、しかし「積算が低い」という事実自体は変わりません。

    つまり他の金融機関(コベナンツに理解の少ない金融機関)から見れば、担保評価の低い物件を保有していることになりますので、次の融資に影響を及ぼす可能性が無いとは言い切れません。

    これが意味することは、目先の不動産を購入したいがゆえに安易にコベナンツ融資に飛びついてはいけない、ということです。

    コベナンツ融資の相談ならプラン・ドゥ

    コベナンツ融資の相談ならプラン・ドゥ

    将来の投資戦略をよく練ったうえで初めて、コベナンツ融資は力を発揮します。そこには不動産以外も含めたポートフォリオ全体の戦略設計が大事になってきます。

    私たちプラン・ドゥはそのような全体戦略を踏まえたうえでの不動産投資をサポートしています。もし前向きに不動産購入をお考えの際は、ぜひ私どもにお声かけいただけると幸いです。

    最後までお読みいただき、ありがとうございました。

    ★下記記事では会話形式でコベナンツ融資を解説しています。
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