2021年12月/現場で感じる収益不動産市況(融資動向あり)

不動産投資向けのマンションが多いエリア

本記事は公開1~2ヶ月前に配信した不動産投資メルマガの抜粋です。

目次

一般法人の購入需要アップ

まず、自社物件の販売における市場の反応ですが、一般法人による購入需要が増えている印象です。

実際に当社でも売り出し後、数日の間に満額買付が複数の一般法人から入った物件もあります。

当社は新富裕層のお客様に対しての資産コンサルティングを主軸としていますので、一般法人様の需要とその背景について詳しいわけではないのですが、上記のような買い需要を通じて感じているのは賃貸住宅が有事に強いということが証明され、市場で認知されつつあるということです。

海外マネーの流入

この流れは海外法人にも及びます。

直近ではドイツの保険大手アリアンツが日本の賃貸住宅に2200億円を投じるとのニュースや、大手百貨店のJ・フロントリテイリングが住宅事業に参入にするとのニュースが話題になり、他業界・業種からの資本が不動産に集まる流れが加速しています。

そもそも不動産と金融サービスの相乗効果は高いため、今後はより業界の垣根が無くなり、再編が進むと思われます。

出典:2021年12月23日 日経新聞
一般法人の強み

冒頭で「一般法人による購入需要が増えている」とお伝えしました。

一般法人の特徴として、現金・純資産が個人に比べ潤沢であることが多く、「融資特約無」「現金決済」などの条件でも対応できる強みがあります。

一方で個人投資家は、この金融が厳しい環境下においては自己資金2~3割求められることも多く、苦戦を強いられた1年だったのではないかと感じました。

値上がりを続ける首都圏マンション

投資用不動産の情報サイトを運営している「健美家」のレポートによれば、首都圏のマンションの登録利回りについて

  •  2020年12月:7.67%
  •  2021年12月:7.27%

で推移しており、1年で約0.5%利回りが低下(価格上昇)しています。

サイトの月間訪問者数が124万人とのことで、コロナ前の2年前から2倍に増加しているという背景があるようです(=需要が増えて価格上昇)。

自己資金も増加傾向

また、購入者アンケートでは、自己資金2割以上入れた方が

  •  2019年10月:16%
  •  2021年10月:37%

と倍増していることからも、融資環境の難化・価格上昇が見受けられます。

【参考】健美家レポート

https://www.kenbiya.com/img/press/pre2022-01-05.pdf

融資動向

依然として大手地銀は積極的に融資を推進しています。

直近の当社事例ではC銀行での融資実績がありました。審査に時間はかかったものの、好条件での融資を受けられております。

C銀行の動向

C銀行は2021年の6月から新頭取が就任されましたが、アクセルを踏んで融資をするとの前評判はあり、予想通り攻めの1年でした。

今年の6月からは地銀協会長にも就任されますので、積極姿勢の継続が見込まれます。

O銀行の動向

また当社はRCを専門にしているので、木造物件が得意なO銀行との接点は多くないのですが、先日担当者とお話した際にはより一層、積極的に融資をするとのことで、フルローンに近い実績も増えているとのことです。

大手地銀と比べるとやや金利は上がりますが、2%を切る融資実績もあり、

RC:55年、S:45年、木造:40年に加えて、それぞれ最大15年延ばした年数で計算した残存融資期間でも融資できる可能性はあるとのことでした。(期間を延ばすと金利も上がるので一長一短はあります)

債務上限が年収の10倍までという暗黙のルールはありますが、逆に言えば年収が高ければ保有資産のBSにこだわらないという強みがあります。

(直近3年の年収を見ますが、計算として採用するのは直近1年の年収です)

12月のレインズ成約事例

続いて12月のレインズ成約事例についてご紹介させて頂きます。

1都3県の成約件数は昨年対比で約118%で、合計成約数は先月の33件と比べて横ばいです。

  • 2021年11月成約数:33件
  • 2021年12月成約数:32件

レインズ在庫は1051件(平成元年築以降、1億~5億、都内、重複有)先月の1071件から増加しており、在庫は4ヶ月連続の減少です。

レインズより当社集計

12月の成約を分析

成約物件の特徴としては、

  • 単身間取り ⇒価格下落(高い表面利回りが求められる傾向)
  • ファミリー物件 ⇒価格上昇(低い利回りでも反響増加)

の傾向があります。

アットホームの募集家賃動向レポートによると、特に70㎡超のファミリー物件の家賃上昇率が顕著です。

コロナ前と比べて

  • 神奈川県:約30%
  • 千葉県:約15%
  • 埼玉県:約10%

募集家賃が上昇しました。

賃貸借契約の特性上、急に家賃を上げられないため、今後の家賃上昇を織り込んだ買い需要が推測されます。

物件の立地、相場利回りにもよりますが、1%以上の利回りアップを狙える物件があるというのは大きな魅力になります。また、将来家賃の見通しについては論点になるものの都心駅近の売買需要は底堅いと感じます。

もちろん賃貸需要は個別性が非常に強いため、近隣調査やマーケティングは必須であることに変わりありません。

2021年12月 レインズ成約事例(抜粋)

①「京王堀之内」駅 徒歩13分 平成4年 RC造

売出価格 8,700万円⇒成約価格 8,200万円

土地 94坪 建物 142坪

成約利回り⇒約10.2%

ポイント:全面タイル張り、利回り10%超

留意点:単身間取り、家賃3万円台

 

「土呂」駅 徒歩13分 平成5年 RC造

売出価格 3.4億⇒成約価格 3.25億 

土地 300坪 建物 462坪

成約利回り⇒約7.7%

ポイント:大規模リノベ済(約6000万)、土地300坪

留意点:プロパンガス

   

③「横須賀中央」駅 徒歩13分 平成18年 RC造

売出価格 3億⇒成約価格 3億 ※満額

土地 66坪 建物 237坪

成約利回り⇒約7.3%

ポイント:残存32年RC、容積400%

留意点:EVあり、トランクルーム稼働率50%

 

④「北松戸」駅 徒歩10分 平成29年 木造

売出価格 1.234億⇒成約価格 1.21億 

土地 101坪 建物 85坪

成約利回り⇒約7.1%

ポイント:築浅木造、劣化対策等級2級

留意点:接道△

 

⑤「武蔵新城」駅 徒歩10分 平成2年 RC造

売出価格 2.6億⇒成約価格 2.59億

土地 130坪 建物 250坪

成約利回り⇒約6.52%

ポイント:全戸ファミリータイプ、管理状態◎

留意点:ハザードリスク

 

⑥「駒込」駅 徒歩4分 平成21年 S造

売出価格 9,000万円⇒成約価格 9,000万円 ※満額

土地 24坪 建物 40坪

成約利回り⇒約5.37%

ポイント:駅徒歩4分、残存22年S

留意点:接道△

⑦「浜田山」駅 徒歩4分 令和2年 S造

売出価格 2.95億⇒成約価格 2.9億 ※満額

土地 41坪 建物 78坪

成約利回り⇒約4.0%

ポイント:駅徒歩4分、残存32年、1LDK

留意点:土地40坪

  

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