2022年1月/現場で感じる収益不動産市況

収益マンションのコンサルタント

本記事は公開1~2ヶ月前に配信した不動産投資メルマガの抜粋です。

あっという間に2022年も1カ月が過ぎ、各社決算を見据えた動きが活発になってきました。

目次

売り急ぎ案件が少なめ

不動産業界においては、

  • 3末決算までに売り切りたい案件
  • 逆に3末ではなく4月以降の決済希望の案件

など各社の業績、来期目標に応じて販売方針が明確になってきたと感じます。

オープンハウス・トーセイ・ムゲンエステートなどの決算資料からも売上の増加率に対し利益の増加率が大きいという傾向が読み取れ、業績が堅調なため、コロナ前に比べて決算対策の売り急ぎ案件が少ない状況ではあります。

毎年目標を達成し続けている某大手不動産会社も、今月は仕入れも販売も苦戦しており、波乱の1年の幕開けを象徴していると感じます。

参考:トーセイ株式会社 2021年11月期 決算説明資料 [資料編]

https://pdf.irpocket.com/C8923/uTXp/tE0M/i9EN.pdf

プロ同士の売買は多め

しかし、在庫を確保したいニーズと売上を計上したいニーズが重なって、プロ同士の売買も見受けられるようになりました。

特に地場の不動産会社が地元の物件を長期保有で購入する、という事例をよく聞きます。

「中間省略」での契約を希望する不動産会社のお話も増えてきたため、取引関係者の確認・安全性・売却理由など、不動産売買に関する基本的事項のチェックは非常に重要です。

参考:プロの投資家アンケート

https://www.reinet.or.jp/wp-content/uploads/2010/10/20211125-kouhyou.pdf

(出典:一般財団法人 日本不動産研究所)

物件は少ないものの……

直近のインフレ・金利上昇・株価調整などのイベントを受けて「一度様子見をしたい」という買主様もおり、一部の投資家心理に変化があったように思います。

一方、コロナ感染の広がりで売主様との面談が制限され、売却物件が無い、もしくは無くなったという供給制限も起きています。

「バイフレーション」という造語を聞きましたが、まさに複数の供給要因と需要要因が予期せぬ形で押したり引き合ったりする状態だと思われます。

その結果、強気価格の売却物件は長期化している案件があるものの、

相場価格で販売する案件については、売り出し直後に成約する事例が増えています。

ただ購入にあたっては、優良物件は金融機関に打診している間に他決してしまうため、いかに売主様と仲介会社と関係を築けているかがポイントになります。

3月末に融資特需も起こりうる

新富裕層の方への融資については、融資期間と融資金額は厳しい状況が続いております。

しかし現場の融資担当も数字が足りていないとの声が多く、毎年恒例の3末の融資特需も期待できる状況にはあります。

H銀行の動き

直近で大きな動きがあったのはH銀行です。

組織再編に伴い融資方針が変わり、グループ会社であるY銀行の融資審査の方針を採用する見込みです。

グループ会社なので同じ融資方針になっても不思議ではないのですが、2016年の経営統合から6年経過し、ようやくという印象です。

担保価格は積算価格を重視、耐用年数以内での融資が原則ですが、金利は1%を切ることも多く、多くは1%前後で実行されるとのことでした。

Y銀行は商圏の問題で千葉県と埼玉県への融資ができませんでしたが、今回の再編で、千葉・埼玉はH銀行が攻めるということで、融資エリアを明確にした形になりました。

新体制になってからどのような変化があるのか今後、融資を進める中で強みを引き出していきたいと思います。

1月のレインズ成約事例

続いて1月のレインズ成約事例についてご紹介させて頂きます。

1都3県の成約件数は昨年対比で約70%で、合計成約数は先月の39件と比べて大きく減少しています。

  • 2021年12月成約数:39件
  • 2022年1月成約数:16件

レインズ在庫は1031件(平成元年築以降、1億~5億、都内、重複有)先月の1051件から増加しており、在庫は5ヶ月連続の減少です。

レインズより当社集計

また、1031件という在庫数は当社で2020年1月から集計を開始して以来、過去最少の在庫数です。(次に在庫が少なかったのは2021年の4月です) また、築年数別の在庫数の比較をしたグラフが下記になります。

レインズより当社集計

築浅RCはここ3年間人気

3年間の推移を見ると、まず全体の在庫は2年前の1700件⇒直近1494件、と約12%在庫減となっております。

その中で特徴的だったのは、平成7年~平成16年の10年間に建築された物件の在庫減が著しいことです。

融資が厳しくなったことで、残存年数が20年~30年取れる築浅RCの人気が高まったと言えます。

もちろん在庫が少ないということは、選べる物件が少なく競争が激しいことを意味しますので、より目利き力が試されることにはなります。

2022年1月 レインズ成約事例(抜粋)

①「上本郷」駅 徒歩10分 H3年 RC造

売出価格3.0億⇒成約価格2.75億

土地365坪 建物454坪

成約利回り⇒約8.28%

ポイント:土地1000㎡以上、平成築RC

留意点:植栽維持費あり、和室あり

 

②「西横浜」駅 徒歩10分 H4年 RC造

売出価格1.2億⇒成約価格1.08億

土地36坪 建物86坪

成約利回り⇒約8.13%

ポイント:平成築RC、利回り8%越え

留意点:管理状況△、賃料4万円台、狭小1R

③「市川」駅 徒歩11分 H28年 木造

売出価格1.12億⇒成約価格1.04億

土地41坪 建物52坪

成約利回り⇒約6.5%

ポイント:築4年木造、劣化対策等級2級、東南角地

留意点:20㎡弱の単身間取り

④「上野毛」駅 徒歩9分 H4年 RC造

売出価格2.18億⇒成約価格2.18億 ※満額

土地45坪 建物96坪

成約利回り⇒約6.06%

ポイント:上野毛駅9分、接道◎

留意点:管理状況△

  

目次