在庫確保に急ぐ不動産会社
先月のメルマガで6月の売買動向が活況であるとご報告させて頂きましたが、7月も引き続き購入需要は旺盛だと感じています。
特に不動産会社が在庫不足で困っているという話をよく聞きます。
理由としては、3月~5月にかけて急速に市場環境が変化したため、短期間で保有資産の売却を行った不動産会社が多いようです。(ADワークス、サンフロンティア、東武不動産、センチュリオンなど)
ただ、大幅に価格を下げて損失を出したわけでもなく、引き続きの金融緩和と不動産融資への積極性もあって、次の仕入れ確保への意欲が衰えていないように感じます。
そのため、在庫確保を急ぐ不動産会社が多く、結果的にお互いに競合して買えずに苦しんでいるという声をよく聞きます。
ある懇意にしている不動会社ではこのままでは9末の売上目標に届かない為、8末までの在庫確保にこだわりチャンスがあれば9末の売上計上も狙うようです。
トレンドは新築から中古へ
また、同業他社の傾向として新築から中古へのシフトを感じます。
新築物件では土地を購入してから完成、販売までどうしても時間がかかり、市況変化にも対応しにくく、コロナの影響で工事遅延もあり得ます。
そのため、長期PJではなく短期PJを優先し中古レジに買いが集まっている事情もあります。
一方、買いたいのに買えないということは、市場価格と希望価格に少し乖離があるということでもあります。
特に個人売主の物件であれば今売らなくても少し様子をみたいという方も多いですし、今買うなら価格交渉したいという買主の思惑とのギャップは依然として存在します。
選ばれる郊外、選ばれない郊外
当社では都心ではなく郊外エリアを得意としていますが、郊外の中でも選別の動きが加速していくと思われます。
キーワードは「テレワーク」ですが、ポイントは大きく分けて2つあります。
①オンもオフも専有部内で快適に過ごせること
②近隣エリアで生活が完結すること
が挙げられます。
①については快適なテレワーク環境を有しているというのがポイントです。
②については、最寄り駅や近隣施設で生活が完結する立地の優位性がさらに高まる、という意味です。具体的には、近隣に商業施設、病院、学校があり開発計画が盛んで街に活気がある場所がより選ばれるでしょう。
大事なことは、「テレワークが主流になりつつあるから郊外ならどこでも良い」というわけでは無いということです。
7月のレインズ成約事例
1都3県の成約件数としましては昨対比で約50%減ですが、成約価格(利回り)には大きな変化は感じられません。
- 6月成約数:24件
- 7月成約数:15件(先月比62.5%)

今月の成約事例の特徴としましては昭和築のマンションが多いことです。
既存不適格や字型が悪いなどのネックがある物件の利回りは高めですが、都内好立地の物件は昭和築の物件でも低利回りで成約しております。
①綱島駅 徒歩10分 昭和58年 RC造
売出価格0.8億⇒成約価格0.8億 満額
土地約85坪 建物約144坪
成約利回り約13.17%
ポイント:利回り13%超
留意点:築37年(残存10年)、既存不適格
②新井薬師前駅 徒歩4分 昭和62年 RC造
売出価格0.89億⇒成約価格0.86億
土地約46坪 建物約68坪
成約利回り約8.51%
ポイント:利回り8%半ば、駅4分
留意点:築33年(残存14年)、字型が悪い
③中野駅 徒歩10分 昭和58年 RC造
売出価格1.24億⇒成約価格1.17億
土地約63坪 建物約81坪
成約利回り約7.46%
ポイント:大規模修繕実施
留意点:築37年(残存10年)、私道接道
④両国駅 徒歩5分 平成18年 S造
売出価格2.20億⇒成約価格2.18億
土地約56坪 建物約106坪
成約利回り約6.32%
ポイント:2駅3路線10分以内、2006年築、商業地域
留意点:積算比率50%、利回り6%前半
⑤広尾駅 徒歩8分 昭和60年 RC造
売出価格1.50億⇒成約価格1.30億
土地約26.85坪 建物約67.29坪
成約利回り約5.83%
ポイント:白金アドレス、満室稼働
留意点:築35年(残存12年)、利回り5%台
⑥自由が丘駅 徒歩10分 令和1年 S造
売出価格3.69億⇒成約価格3.69億満額
土地約53坪 建物約104坪
成約利回り約4.01%
ポイント:自由が丘アドレス、新築
留意点:利回り4.01%
レインズ在庫は1150件(平成元年築以降、1億~5億、都内、重複有)、先月の1126件から小幅増加です。


