2022年3月/現場で感じる収益不動産市況

不動産投資が盛んな街

本記事は公開1~2ヶ月前に配信した不動産投資メルマガの抜粋です。

目次

中古郊外は活況

3月はウクライナ情勢・FRBの利上げ・日銀連続指値オペ・円安・金融機関の決算期と、様々な出来事があった1カ月でした。

まずは当社が得意とする「1億~5億の中古郊外物件」の市況について、3末特需による金融機関の積極姿勢もあり、全体的に活況でございました。

当社担当案件ではY銀行・S銀行などで決済があり、新富裕層のお客様に対する融資は積極的だと感じております。

在庫はまだ動かない?

同業他社の在庫不足の状況は先月から変わっておらず、例外的に◯◯◯◯グループは在庫回転数を重視しているものの、その他多くは販売期間が長期化しても強気姿勢(売らない)を維持している印象です。

以前と比べ販売用不動産の資金調達期間が長期化し、社債発行なども増えているため、全体として売却・返済に対する金融機関からの圧力が弱まっているという背景もあります。

一方で、年初からの株価の下落や戦争リスクを受け、3月に売り切って換金したいという需要も一定数ございました。

そのためレインズ上には10%前後での成約事例も散見されています。

金融機関の動向

いくつかの金融機関の情報を共有させて頂きます。

※公式発表でない情報もあるため正確性は保証できません。

Y銀行

昨年1月からスタートした横浜銀行のコベナンツ融資は相変わらず人気です。申込件数が多いため、わずかながら間口の引き締めが始まっています。

また長期金利の上昇を受けて、融資金利もやや上昇傾向です。毎年の鑑定評価などの縛りはありますが、債権管理するという意味では本来あるべき姿ではないかという気もします。

メインバンクとしてお考えの方にはお勧めです。

H銀行

Y銀行のグループ会社でもありますので、4月以降、コベナンツ融資の実行に向けて本部協議がスタートする見込みです。

そもそも、コベナンツ融資自体は目新しいものではありませんので、不動産向けにどのように融資をして管理するのかという実務面での調整を行うとのことです。

Y銀行がカバーしきれなかった埼玉県・千葉県への融資も行う見込みなので、今期の注目融資になる可能性はあります。

C銀行

横浜銀行同様に積極姿勢は変わらずですが、こちらも少し金利が上昇傾向にあります。

お客様の資産背景・融資支店・売主・仲介会社などの関係者によりますが、例として当社からの紹介であれば、金利1.3%以下での融資の内諾は頂いておりますので、引き続き低金利での資金調達のメリットは大きいと思います。

(業務提携をしているわけではなく過去の実績を踏まえて審査して頂いています)

S銀行

当社で3末に決済した案件がありましたが、その日だけで他に5件の決済があり、今年の3月はシェアハウス問題以降、月間融資額としては最大とのことでした。

また団信の関係で81歳までの融資が原則でしたが、84歳までに緩和されました。50代の購入者も多いので「54歳で30年融資→84歳で完済」という需要を取り込みたいとのことでした。

他の地銀と比べて金利はやや高めですが、23区以外の東京都で不動産を購入する場合は優遇金利適用のためお勧めです。

CK銀行

残価設定型ローンを推奨しており、土地の資産価値割合が高い低層物件で、利回り・キャッシュフローは厳しいけれども
最終的な土地処分価格に安心感のある物件などへの融資の場合には検討の余地があります。(下取り価格を決めて差し引いた融資額を返済するイメージです)

残価の決め方は銀行の土地担保評価の50%が最大になります。

個別性はありますが、土地路線価価格の50%と考えて頂ければ大きな差異はありません。(1億円の物件で土地路線価価格が5000万円の場合、2500万円が残価)

※金利は0.7%~1.5%が目安で融資手数料が3%~5%発生します

3月のレインズ成約事例

続いて3月のレインズ成約事例についてご紹介させて頂きます。

1都3県の成約件数は昨年対比で約168%で、先月の25件からも大きく増加し、3末らしい結果となりました。。

  • 2022年2月成約数:25件
  • 2022年3月成約数:42件(速報値)

株式相場の下落局面からの戻りもあり、購入への安心感と先行き懸念からの売却ニーズが重なるタイミングだったといえます。

レインズ在庫は1124件(平成元年築以降、1億~5億、都内、重複有)先月の1127件から在庫は横ばいです。

レインズより当社集計

クセあり物件なら10%以上も

今月は成約件数の絶対数が大きいですが、その中でも当社が得意とするバブル期の中古RCの成約件数も多くありました。 

稼働率が悪い物件や違法物件など、クセのある物件は10%以上の利回りでの成約もありました。特に武蔵砂川の物件は販売価格より700万円も高い価格で成約したため、スピード勝負・融資特約無・契約不適合免責での競争があったと想定されます。

2022年3月 レインズ成約事例(抜粋)

①「八王子」駅 徒歩14分 H5年 RC造

売出価格 1.07億 ⇒ 成約価格 1.00億

土地 66坪 建物 119坪

成約利回り⇒約 10.02%

ポイント:利回り10%以上

留意点:駅徒歩14分、八王子エリアの単身3点ユニット、私道接道

 

「武蔵砂川」駅 徒歩17分 H6年 RC造

売出価格 9,800万円 ⇒ 成約価格 1.05億
※販売価格以上での成約

土地 192坪 建物 207坪

成約利回り⇒約9.85%

ポイント:積算オーバー、3DK間取り

留意点:稼働率66%、駅徒歩17分

「朝霞」駅 徒歩5分 S61年 RC造

売出価格 1.598億 ⇒ 成約価格 1.48億

土地 67坪 建物 140坪

成約利回り⇒約9.40%

ポイント:駅徒歩5分、25㎡程度の広めの単身間取り

留意点:車庫転用で違法物件、3点ユニット

「和泉多摩川」駅 徒歩7分 S62年 RC造

売出価格 1.34億 ⇒ 成約価格 1.33億

土地 56坪 建物 110坪

成約利回り⇒約8.2%

ポイント:R3年 屋上防水工事実施、約30㎡の単身間取り

留意点:賃料4万円台(経費率が高い)、ハザードリスクあり

「千葉」駅 徒歩6分 S60年 S造

売出価格 1.08億 ⇒ 成約価格 8,300万円

土地 54坪 建物 97坪

成約利回り⇒約8.49%

ポイント:千葉駅6分、両面接道

留意点:耐用年数オーバー、店舗あり

「大宮」駅 徒歩19分 S63年 RC造

売出価格 1.98億 ⇒ 成約価格 1.93億

土地 132坪 建物 251坪

成約利回り⇒約8.23%

ポイント:全面タイル貼RC、接道◎

留意点:1F店舗あり、EVあり、隣地に葬儀場あり

「旗の台」駅 徒歩9分 H1年 RC造

売出価格 5.00億 ⇒ 成約価格 4.55億

土地 150坪 建物 341坪

成約利回り⇒約6.19%

ポイント:全面タイル貼RC、オートロックあり

留意点:ファミリー間取りで独立洗面台なし

「馬込」駅 徒歩5分 S64年 RC造

売出価格 2.50億 ⇒ 成約価格 2.228億

土地 48坪 建物 71坪

成約利回り⇒約6.15%

ポイント:駅徒歩5分、共用部修繕工事実施済み

留意点:接道△、16~17㎡単身間取り

「板橋区役所前」駅 徒歩5分 H27年 RC造

売出価格 1.97億 ⇒ 成約価格 1.8億

土地 22坪 建物 73坪

成約利回り⇒約5.6%

ポイント:駅徒歩5分、平成27年築RC

留意点:土地71㎡、店舗あり

「長谷」駅 徒歩8分 H11年 RC造

売出価格 1.80億 ⇒ 成約価格 1.725億

土地 65坪 建物 72坪

成約利回り⇒約5.28%

ポイント:公道角地、H27年 内外装リノベーション実施

留意点:EVあり、全4戸(収入に対する空室損大)

11「池袋」駅 徒歩7分 H17年 S造

売出価格 4.38億 ⇒ 成約価格 4.20億

土地 61坪 建物 197坪

成約利回り⇒約4.84%

ポイント:池袋駅徒歩7分、商業地域

留意点:地形△、事務所あり

12「下井草」駅 徒歩5分 H17年 RC造

売出価格 8,980万円 ⇒ 成約価格 8,500万円

土地 29坪 建物 42坪

成約利回り⇒約4.30%

ポイント:駅徒歩5分、平成17年RC、屋上防水工事実施済

留意点:1LDK×3戸

  

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