進化する防災対策

    新型コロナウイルスによる未曾有の事態が続く中、どうか空模様だけはこのまま平穏であることを祈るばかりです。

    さて、そんな平和な今だからこそ「最新の防災」について理解を深め、収益不動産購入における1つのファクターとして意識していただきたいなと思います。

    目次

    AIによる防災

    被災した際の避難指示から現場状況の正式な判断まで、各自治体でAIを活用した様々な取り組みが行われています。

    ①  オンライン防災訓練(東京都江東区)

    清水建設など民間13社で構成され、東京都江東区で次世代の街づくりを進める「豊洲スマートシティ推進協議会」は9月、オンライン上で防災訓練を開きました。

    その方法とはLINEによる防災チャットボットを用いるもので、

    LINEのトークルーム上で質問に答えていくと、AIが避難の必要性を判断してくれる

    というものです。AIとチャット上で対話を重ねると、国が定めた警戒レベルや現在地から避難の必要性を割り出し、指示を出してくれるというのです。

    「自分は大丈夫」といった油断を排除し、客観的な判断をもたらしてくれるため参加者の満足度も高かったようです。

    このような防災チャットボットは、株式会社ウェザーニュースによって全国の自治体に無償トライアルの提供が進んでおり、改善・機能拡張したのちに2021年度には全国販売される予定とのことです。

    ②  災害関連情報の自動収集(千葉市)

    千葉市は20年度から、SNSに投稿された写真をもとにAIを使って災害関連情報を自動収集するシステムの運用を開始しました。

    TwitterやFacebook等への投稿をもとに被災状況をAIが抽出して、市の各関係部署に配信する

    というものです

    デマや誤送信についてはAIが判定してくれることに加え、専門チームが人の目で判断し、情報の精度を高めています。このシステムにより初動対応の迅速化が期待されています

    また自治体内での情報共有だけでなく、民間での情報共有にもAIが効果を発揮しつつあります。

    災害情報を共有するスマートフォンアプリや、ツイッターの情報からAIが被災場所を割り出して地図に表示するシステムなども開発されているとのことです。


    このようにAIの発達によって、今まで以上に被災や防災の情報を把握しやすくなってきています。

    スタートアップ企業による防災

    ここ数年の水害被害の拡大を受け、防災対策に力を入れるスタートアップ企業も続々と表れています。

    具体的に2つの例をご紹介します

    ①  BCP(事業継続計画)管理サービス

    BCPとは

    災害などの緊急事態が発生した場合、企業が「損害を最小限に抑えること」「事業の継続や復旧を図ること」を目的とした計画のことをBCPと呼びます。

    スタートアップのTech Designは、事前に自社の事前に自社の事業所や取引先工場などの場所をクラウド上に登録しておくと、災害時に気象庁などから自社の事業継続に影響する被災情報が自動で入ってくるシステムの提供を開始しました。

    このシステムによってどこの供給網が被災しているのか、ボトルネックとなっているのかが把握できるため、「取引先が多く、被災情報を把握できない」という企業に対してのニーズが強くあるとのことです。

    ②  地域向けSNSアプリ

    スタートアップのマチマチは、全国1922の市区町村それぞれのコミュニティで情報共有ができるSNSに、防災機能を実装しました。

    メディアでは伝えられないような細かな地域の情報がやりとりされているとのことで、例えば

    「〇〇の道路は冠水しているから車は使えなさそう」

    「子連れでも迷惑がかからないような避難所はあるかな」

    といった、その地域に住んでいるからこそ分かる情報交換がなされているとのことです。

    この地域発信の防災コミュニティには行政も注目しているとのことで、今年9月には東京消防局がマチマチと協定を締結し、アプリ内の公式アカウントから情報発信が可能になったとのことです。


    ここに取り上げた以外でも、AIによる被害予想、保険金の支払金額算出など様々な分野で新たな技術やサービスが開発されています

    最後に

    ここまで、AIの進歩や各スタートアップの努力による防災対策の進歩について見てきました。

    台風などの自然災害が多く、更に活断層にも囲まれている日本においては、「防災」は常に大きな課題となります。上記のような技術やサービスの進歩に期待する一方で、私たち一人ひとりの防災意識も高めていく必要があるでしょう。

    収益物件を購入する際に「水害ハザードマップ」を確認するのはもちろん、各自治体や地域ごとの防災に対する意識、過去の防災対策などまで確認しておくことがベストと言えるでしょう。

    【参考】

    「首都圏自治体、避難・情報収集にAI・SNS活用 首都圏 水害への備え(下)」、日本経済新聞、2020/10/13

    https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64880090S0A011C2L83000/

    「守れサプライチェーン 水害対策にスタートアップの力」、日本経済新聞、2020/10/6

    https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64567680S0A001C2X11000/

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