2022年10月/現場で感じる収益不動産市況

収益不動産を売買する人

本記事は公開1~2ヶ月前に配信した不動産投資メルマガの抜粋です。

10月の不動産市況を総括しますと、

「販売が順調な一方で、仕入れ目標が達成できていない」

という声が多い状況が続いています。

 

背景には低金利と金融緩和継続があるため、米国の利上げ方針やターミナルレート、そして日銀の金融政策にますます注目が集まっていると言えます。

資金調達は不動産経営の生命線ですが、各金融機関は引き続き積極姿勢を維持しています。

 

金融機関の方針を

①量的拡大 ②質的拡大

に分けた場合、資金調達先としては、①量的拡大のフェーズにいる銀行がお勧めではあります。

目次

海外との比較

円安でドルベースの資産は割安感があるため、海外からの熱い視線は感じつつありますが、さらに円安が進むという不安も同時につきまとうため、円相場の底値を探っている投資家もいらっしゃいます。

そこで国際都市の比較を見てみますと、東京は価格・賃料ともに安定基調で、シンガポールやバンコクと近い推移だと読み取れます。

【出典:日本不動産研究所 第 18 回 国際不動産価格賃料指数(2022年4月現在)】

そのため、特に大口投資家目線からすれば、ボラティリティーが低いというのは大きな魅力の一つなのだと思いました。

インフレ時代へ

日銀は今後の金融政策を考える上で、物価上昇率を重要指標の一つにしています。

10月29日の黒田総裁の会見内容によりますと、物価見通しを上方修正しているものの、24年度でも2%に到達しないとの判断です。

加えて、インフレ率2%を維持するためには、賃金上昇率3%が望ましいとのメッセージを発しています。

会社の利益確保が先か、賃金UPが先かは鶏が先か、卵が先かの議論に近く悩ましい課題ですが、インフレ時代の兆しは見えているようにも感じます。

賃料の上昇率など

オーナー様の立場としましては、物価上昇&賃金上昇⇒家賃上昇という流れが望ましいですが、最近は更新時に賃料改定に成功している事例も聞くことが増えてきました。

経年劣化の問題もあるため、必ずしも賃料上昇に繋がるかは個別性がありますが、大局的にも賃料が上がっているエビデンスを提示できることは大きな意味があると思います。

アットホームが公表している賃料インデックスで2年前からの上昇率を見ますと、

  • 埼玉県東南部の上昇率が 約 7%
  • 千葉県西部、横浜・川崎市が 約 5%弱
  • 東京都下が 約 2.5%
  • 東京23区が横ばい

となっています。

もちろん、エリア以外の個別性もたくさんありますので1つのトレンドですが、入居者様にもご説明しやすい事例です。

【出典:アットホーム マンション賃料インデックス

10月のレインズ成約事例

続いて10月のレインズ成約事例についてご紹介させて頂きます。

1都3県の成約件数は昨年対比で約97%で、先月からも17件増加となっております。

  • 2022年9月成約数:48件
  • 2022年10月成約数:35件(速報値)

レインズ在庫は1270件(平成元年築以降、1億~5億、都内、重複有)、先月の1206件から大幅増加です。

レインズより当社集計
2022年10月 レインズ成約事例(抜粋)

①「朝霞」駅 徒歩20分 H7年 RC造

売出価格 1.90億 ⇒ 成約価格 1.80億

土地 200坪 建物 230坪

成約利回り⇒約 8.5%

ポイント:残存20年RC、土地600㎡以上

留意点:駅徒歩20分の1K間取り、オール電化(電気温水器あり)、字型・接道△

 

②「大泉学園」駅 徒歩24分 H3年 RC造

売出価格 1.50億 ⇒ 成約価格 1.40億

土地 132坪 建物 141坪

成約利回り ⇒ 約 7.6%

ポイント:全室角部屋、修繕履歴あり

留意点:建蔽・容積オーバー、駅徒歩24分

「小机」駅 徒歩10分 H9年 RC造

売出価格 1.35億 ⇒ 成約価格 1.33億

土地 141坪 建物 189坪

成約利回り ⇒ 約 7.1%

ポイント:残存22年RC、タイル貼りRC

留意点:接道△、アクセス△(坂あり)、地目が山林

「瑞江」駅 徒歩12分 H18年 S造

売出価格 1.09億 ⇒ 成約価格 1.0億

土地 45坪 建物 68坪

成約利回り ⇒ 約 7.0%

ポイント:都内7%以上、公道角地

留意点:1Fテナントあり、ハザードエリア該当

「調布」駅 バス22分 H15年 S造

売出価格 8,200万円 ⇒ 成約価格 8,200万円 ※満額

土地 91坪 建物 63坪

成約利回り ⇒ 約 6.7%

ポイント:積水ハウス施工、土地300㎡以上、全戸LDK間取り

留意点:バス便22分、全4戸

「上町」駅 徒歩8分 H7年 S造

売出価格 2.99億 ⇒ 成約価格 2.80億

土地 68坪 建物 183坪

成約利回り ⇒ 約 6.5%

ポイント:2路線利用可能、最寄り10分圏内

留意点:字型△、テナントあり、20㎡以下の単身間取り多数

⑦「横浜」駅 徒歩17分 H11年 S造

売出価格 1.15億 ⇒ 成約価格 1.135億

土地 99.97坪 建物 92.89坪

成約利回り ⇒ 約 6.26%

ポイント:旭化成施工、横浜駅まで徒歩アクセス可能、土地300㎡以上

留意点:徒歩17分、DK間取り

⑧「大森」駅 徒歩8分 H15年 S造

売出価格 1.61億 ⇒ 成約価格 1.61億 ※満額

土地 54坪 建物 76坪

成約利回り ⇒ 約 6.0%

ポイント:旭化成施工、25~27㎡の広め単身間取り、整形地

留意点:ネット料金負担あり、接道△

⑨「南林間」駅 徒歩9分 H21年 RC造

売出価格 1.75億 ⇒ 成約価格 1.70億

土地 93.06坪 建物 133.39坪

成約利回り ⇒ 約 5.3%

ポイント:残存34年RC、三方接道

留意点:西側 私道接続、字型△

⑩「大泉学園」駅 徒歩3分 H17年 RC造

売出価格 1.37億 ⇒ 成約価格 1.37億 ※満額

土地 47坪 建物 74坪

成約利回り ⇒ 約 5.0%

ポイント:残存30年RC、2021年大規模修繕実施、駅徒歩3分

留意点:オール電化、セコム・ジェイコム費用△、前面道路を拡幅予定

11「西小山」駅 徒歩12分 H16年 S造

売出価格 1.278億 ⇒ 成約価格 1.24億

土地 32坪 建物 46坪

成約利回り ⇒ 約 4.9%

ポイント:目黒区アドレス、2022年・2017年 建物修繕実施

留意点:設備グレード△、各駅徒歩10分以上

12「阿佐ヶ谷」駅 徒歩8分 H13年 S造

売出価格 1.75億 ⇒ 成約価格 1.75億 ※満額

土地 67坪 建物 71坪

成約利回り ⇒ 約 4.4%

ポイント:積水ハウス施工、角地

留意点:北側 私道接続、植栽維持費△

  

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